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格闘技大戦争

自分は絶対暴力反対のもやしっ子でありながら、格闘技を見るのは大好きなevnc_chckです。

私が子供のころは格闘技界のエリートと言うとプロレスラーであったように感じます。異論はあると思いますが打投極のどれにも大きく偏重するでも無く、いろいろな格闘技の経験者でかつ「喧嘩なら誰にも負けない」タイプの人間が集まって、過酷なトレーニングで得た頑丈な体で「普通に受けたら即死しそうだけど、普通なら決まらないだろうな・・・」と思わせる必殺技を互いにかけ合い、最後はだいたい無難な決着をする。
スポーツとエンタティメントを見事に融合させたエリート集団であることは間違い無かったと今でも思います。
ただ過去形で表現しているのは、現在人気の「アルティメットファイト」に代表される総合格闘技にどうしても目が行ってしまい、更にはプロレスラーが威信をかけて総合ルールに参戦しては瞬殺されるのを見ると、寂しさすら感じます。
しかし現在の総合格闘技はあるプロレスラーの存在無しではありえなかったものです。

初代ターガーマスクこと佐山聡(サトル)です。

彼は高校を中退して当時の新日本プロレスに入門しました。元々は柔道やレスリングを学んでいたので所謂グラップリングの世界で活動していたわけですが、格闘技を追求すれば必然的に打撃も重要なファクターになることを早くから認識し、新日本の道場には内緒でキックボクシングのジムにも通っていたそうです。

そんな彼がプロレスラーデビューして間も無いころに出場した有名な試合があります。
1977年11月14日に梶原一騎主催で開催された「格闘技大戦争」で、当時の全米プロ空手ミドル級第一位のマーク・コステロと行った、ボクシンググローブ着用・立ち技での統一ルールの試合です。
余談ですが当時の全米プロ空手のヘビー級チャンプであった「ザ・モンスター・マン」は、新日本プロレスの代表でエースであったアントニオ猪木と異種格闘技戦を行い、その舞を舞うような飛び蹴りで観客の度肝を抜きました。後日、猪木本人がTVのインタビューで「とにかく伸びて来る。ヒュヒュヒュー!と蹴りが飛んでくる」とコメントしています。

私はこの「佐山V.Sコステロ」の試合は当然リアルでは見ていないのですが、社会人になってから所謂プロレス裏ビデオで見ました。別にいかがわしいものでは無くて、あまりにいわくや問題があって放映が見送られたりした試合を収録したもので、例えばアンドレ・ザ・ジャイアントが前田日明を明らかにツブそうとして、前田が返り討ちにした「問題の」試合や、サソリ固めを決めている長州力の背後から忍び寄った前田が不意打ちで長州の顔面を蹴り、顔面骨折させた「問題の」試合をマニアが録画していたもの、などが入ってます。(しかし前田多いな・・・。)

この試合は佐山がほぼ一方的に蹴られ殴られ、殆ど毎ラウンドにダウンしつつも判定までは何とか持ち込んだもので、佐山にとっては屈辱的な内容であったためにその後の佐山の格闘技スタイル形成のきっかけになった。という評価が一般的であったと思います。
また、初代タイガーマスクが人気絶頂の時期に(1980年ころ)少年サンデーに連載されていた、梶原一騎原作(またかよ・・・)の「プロレススーパースター列伝」でもこの試合が描かれていますが、えらく凄惨な試合で佐山がまるで悲劇のレスラーのように思えてくる描写です。

しかし、最近になってyoutubeでこの試合を改めて見てみると、以下のようなことが感じ取れます。

・佐山が自分が習得しつつあった打撃のレベルや、本格的な打撃系格闘家の実力やその打撃の威力を、実に冷静に確認していること。
・佐山の打撃の技術がとてもプロレスラーの付け焼刃には見えないその格闘センスの高さ。
・試合の前半で佐山がスープレックスや関節技を(反則だけど)何度か決めようとするが、それにまったく動じないマーク・コステロの対応力の高さ。
・まがりなりにも打撃専門の格闘家の蹴りや拳をかなりまともに受けながら、何度も立ち上がる佐山のうタレ強さと心の強さ。

確かに負けてうれしいわけは無いと思いますし、佐山はくやしかったことは事実だと思いますが、自分の目指す格闘技術確立への一プロセスに過ぎなかったのでは無いかと思えてきます。

実際、以前に佐山がTVのインタビューで「この試合が終わったときに先輩のレスラーが「お前ショッパイな!」と言いました。自分としては打撃の有効性や求める格闘技の技術のために有意義だと思っていたのにそう言われて発奮できた。今ではその先輩の言葉に感謝している。」というようなことを語っていたのを思い出しました。

試合自体は佐山の打撃対応力の問題よりも明らかにスタミナ不足で、試合慣れ(喧嘩慣れと言うか)していそうなコステロにタイミング良く攻撃された。という印象です。これでもっとキャリアがあったらひょっとすると・・・。と思わせる内容だと思います。
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テーマ : プロレス
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