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月の光はロマンティック?グロテスク?(自作曲の解説)

今回のE-Windのテーマ指定は「月夜」でした。
月と言うとベートーヴェンのソナタやドビュッシーの組曲なんかがあって、少し「しっとりとした」「寂しげで」「美しい」イメージです。ところが海外では長く月の光を浴びると精神に異常をきたすそうで、実際、自分も本当はそうなんじゃないかと思ってしまいます。

江戸川乱歩の短編に「月」が小道具に使われている作品があります。有名どころでは「月と手袋」と「目羅博士(初出時のタイトルは「目羅博士の不思議な犯罪」)」がありますが、特に「目羅博士」は月を使った妖術めいたトリックで犯罪を繰り返す謎の「博士」の話で、現実感の無い独特の異世界の中の出来事を描いた作品です。傑作と呼ぶには少々小粒ですがこの雰囲気は味わいがあって好みです。

で前置きが長いですが今回のテーマ指定曲は乱歩の思う月を表現しようかとも思ったのです。しかし最近本業が忙しくていろいろ考えているうちに日々が流れてしまい、結局は今回の公開曲は月の下で永遠の愛を誓う。と言う少々気恥ずかしいテーマを表現しました。

タイトル:フルートとピアノのための「月下の誓い」
イ短調、3拍子
*編成
・フルート1
・ピアノ1

使用音源
SonicCell+拡張ボード2枚
・SRX-03:StudioSRX(主にポピュラー・ミュージックで使われる楽器やリズム・セットのウェーブを集めたもの)よりフルート:「Legato Flt3」「Flute Vibrato」
・SRX-11:CompletePiano(ピアノだけに特化したフル・サンプリング音源)よりピアノ:「ClassicGrand」

最初に現れるピアノが叩きつけるように奏でる和音はヴォイシングを広く取って少し硬質な響きにしています。これは月の光の独特の冷たさを表現しました。月は柔らかで暖かい光という意見もあるかもしれませんが、基本は太陽を反射している鏡のようなものですから私は冷たいと感じます。
イントロの後、すぐに流れるようなピアノの3連譜の伴奏の上でフルートがシンプルですが、調性感の明確な旋律を奏でます。これは月の光に照らされた湖とともに、ここで生涯の愛を決めていいものか迷う若者の心を表現しています。
ピアノのトップがフルートの旋律をハーモニーで下支えし、更に内声が細かい3連符の連続でより調性感を明確にします。
無窮動のようなパッセージの連続がフルート、ピアノで応唱のように繰り広げられますがピアノの下降で一旦静まります。

中間部分はテンポを落としイ長調に転調します。おだやかなコラール風のピアノのイントロに、ゆるやかなフルートの旋律が奏でられます。前半部分の耳馴染みの良い和声進行と旋律に対して、中間部分は一転して近現代音楽を思わせる複雑な和声進行になっております。おだやかでゆるやかな中に先の読めない緊張感を持たせたつもりです。
旋律はフルートが提示した後、一時的にピアノが再現して受け継ぎますがすぐにフルートに戻り、複雑な進行がやがてイ短調に収斂していきます。そして始めに現れたピアノの叩きつけるような和音が響き、前半と同じ流麗な旋律が奏でられます。リタルダンドとともにやがておだやかに賛美歌を思わせる教会終止で曲は終わります。

当初から木管楽器とピアノの二重奏で考えてはいましたが、オーボエ、フルート、クラリネット、ファゴットの4つからいろいろ考えた結果、月夜にあう幻想的で優しい音色は何か?を考えフルートにしました。最後までオーボエと迷ったのですがオーボエは少し官能的な雰囲気もあり、できれば愛する人に対する清純な思いを表現したくてフルートに軍配が上がりました。

しかしフルートの独奏を打ち込むのは初めてなのでニュアンスを出すには悩みました。
音源の選択ですが私の手持ちの拡張ボードでまっとうに考えると、オーケストラ楽器の音源として定番の「SRX-06:CompleteOrchestra」から選ぶのが妥当です。しかし今回はあえてポピュラー・ミュージック用音源である「SRX-03:StudioSRX」の中から選びました。
SRX-06の音色は非常にクラシックらしい軽やかだけど芯のはっきりした音色です。対してSRX-03に含まれるフルートはどれもブレス・ノイズの多いガサガサした音色でした。これはジャズなどのフルート奏者の多くがサックスの持ち替えが多く、息の吹き込み方がクラシックや吹奏楽できっちりフルートを学んだ人とは少し違うことから、あえてこういった音質に設定されているのでは?と考えています。最近はクラシックや吹奏楽からジャズの演奏家になる人も多いのでそうでも無いのかもしれませんが、少し前のポピュラー・ミュージックで聴かれるサックス持ち替えのフルート奏者の音は、尺八かカリプソのような音だと感じたものです。一般の方々もクラシックのフルート・コンチェルトより、ポピュラー・ミュージックの中で時々聴かれるフルートのソロなどのほうが馴染みがあるのでは?と考えてこのノイズの多い音色を選択しました。
「SRX-03:StudioSRX」にはフルート系の音色だけで8種類ほど用意されていますが、少しリズミカルなパッセージは音の長さに関係なく比較的同じ音質が継続される「Legato Flt3」をあてて、緩やかな旋律を奏でる部分には音が持続するとヴィブラートがかかり出す「Flute Vibrato」をあてています。
ただしゆったりとヴィブラートをかけ音量も変化させたい箇所はエクスプレッションを細かくうねらせています。

ピアノの音源はここのところはずっと「SRX-11:CompletePiano」しか使用していません。今回もその中から落ち着いたクラシカルな音色の「ClassicGrand」を選択しました。
前半部分のピアノの速いパッセージについて、ピアノ奏法上は右手の小指や薬指(フォルテは小指でメッツォ・フォルテ以下は薬指で)でトップを弾き、残りの親指から中指までで内声を弾くのが一般です。この場合はトップの音はできる限りレガートに、そして内声はごく弱めに弾くことでトップをきわだたせ更にスピード感を表現させます。
打ち込み上はトップと内声はトラックを別にして、パンふりやエフェクトなども微妙にかけかたを変えています。
また中間のコラールはピアノは基本は4声ですが上で動くフルートの旋律が調性感が希薄なため、今回は対位法的な動きより和声法的な動きにして和声をはっきりさせています。とは言ってもかなり複雑に進行するので参考に少しだけ楽譜を公開します(公開させていただいている作品の0:58秒あたりからの部分です)。
moon.jpg

midiのスコア表示なのでピアノは4トラックに分かれています。「こんな音なんだ」ぐらいに思っていただければ良いと思います。
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テーマ : DTM、宅録、ミックス、レコーディング、機材
ジャンル : 音楽

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はじめまして。 中学生くらいに突如、音楽に興味を持ち「ブラバン」や「ロック・バンド」やよくあるコースで音楽を愛し、今はもっぱらDTMを趣味としてネットで自作曲を公開したりしています。

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