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テーマ指定曲「江戸川乱歩「芋虫」」について

今回のEWテーマ指定は「愛情」。普通にラブソングしか思い浮かびませんが、ここで普通にラブソングを創っては漢じゃない!イヤよくわかりませんが、とにかくいい年齢して今更ツンや妹やメガネっ娘を求めても叶わぬ夢でして・・・。

「愛情」とは言ってもラノベにありがちな、気は優しいんだけど優柔不断でやや夢見がちな男子高校生に、頼みもしないのに次々と学校中の美少女や部活(美術部)の先輩や生徒会長の妹が寄って来て、ひっくり返ってパンツを見せてくれたり、乳を揉ませてくれたりする。といった恋愛ものに出てくる愛情や、あるいは「大草原の小さな家」とか「アルプスの少女ハイジ」みたいな家族愛。こういったものではありきたりです。
そこで少し倒錯系を狙おうかと考えました。もちろんラノベやコミックにも倒錯したのはいくつもありますが、ここは大人の風情の漂う倒錯を念頭に置きました。
いくつかおもいつくまま倒錯した愛情を描いた作品(小説とか映画)を思い浮かべました。

谷崎潤一郎「痴人の愛」「春琴抄」
江戸川乱歩「盲獣」「闇に蠢く」「陰獣」「芋虫」「パノラマ島奇談」「蟲」
沼正三「家畜人ヤプー」
クライブ・バーカー「ジャクリーン・エス」「ヘルバウンド・ハート」
泉鏡花「外科室」
寺山修司「上海異人娼館 チャイナ・ドール」
スティーブン・キング「キャリー」
etc...

今回はあまり映像からインスパイアされたような曲は避けたいと思い、できれば小説から。そうなると個人的にはもう江戸川乱歩の「芋虫」に勝る倒錯ぶりは他に無いと考えざるを得ませんでした。

「芋虫」。一見すると近所の花壇や公園の木々をノソノソと暢気に這い回る、人によっては「かわいい」。人によっては「気持ち悪い」生き物で、たいていは蛾や蝶の幼虫です。
英語では「worm」ですがwormは含まれる幼虫の範囲が広く、足が有っても無くてもチューブ状の幼虫はすべてwormです。wormのうち蛾や蝶に変態する毛虫・芋虫を英語では「caterpillar」と呼びます。ちなみに蛆虫も見た目は芋虫ですが英語では「maggot」。水中でもの凄いヘッド・シェイクを繰り返している蚊の幼虫であるぼうふらは「wriggler」、コメツキムシの幼虫で文字通りハリガネのように細いハリガネムシは「wireworm」です。日本と同じように見た目が基本全部同じなので、人間の都合でいろいろネーミングをしているわけですね。親虫(成虫)と余りにも似ていない幼虫から蛹を経て変態する虫を「完全変態昆虫」と、骨の髄まで変態みたいに呼びますが余談です。

余談ついでに間もなく公開される日本映画の「キャタピラー」は江戸川乱歩の「芋虫」を原作としているそうですが、そのあたりがあまり喧伝されておらず、どうして明確にしないのか?作者(監督)がそういうイメージで捉えて欲しく無いのか?映画そのものよりもその事情に興味があります。

更に余談ですが、昨年に丸尾末広がこの「芋虫」を劇画化していますが、かなり脚色されて半分くらいは「丸尾ワールド」的変態さが侵蝕しています。その前の「パノラマ島奇談」がいいできだっただけに少しガックリしました。

さて乱歩の「芋虫」です。

1929年(昭和4年)に「新青年」という娯楽小説雑誌に掲載されたそうですが、内容が読みようによっては反戦的なので「娯楽小説」として掲載することで検閲を緩くしたようです。

あらすじは以下です。

主人公は傷痍軍人の須永中尉とその妻である時子。須永中尉は戦争で聴覚と味覚、更には話すこともできなくなり視覚と触角のみが残されます。しかも驚くべきことに手足(四肢)もすべて失ってしまい、まるで芋虫のような姿でただ横たわる生活を強いられています。
時子はそんな夫をかいがいしく看病します。会話はエンピツを口にくわえた夫がメモに断片的に書く単語と、それに対する返事は時子が中尉の体に指で文字を書いて伝えます。
中尉は「名誉の負傷」を負った国家の英雄であり、彼を看病する時子は帝国軍人の妻の鏡として世間では考えられています。
しかしそんな貞淑さの皮をかぶった時子には隠された秘密が・・・。
四肢を失い会話もできず、聞くこともできない無抵抗な夫をいたぶり、自分の歪んだ性的欲求不満のはけ口としているのでした。

と、まぁ少しさわりを話しただけでも変態度120%、隠微全開の全速力倒錯小説です。

乱歩は日本ミステリー文学の祖、その後の日本ミステリー界の立役者としてのイメージが強く、実際そういう功績が実に大きいのですが、純粋な「探偵小説・推理小説」よりもこういった倒錯した作品のほうが評価が高い作家だと思います。

この「芋虫」は、ハンディ・キャップを持った人を単なる不気味さを際立たせる小道具に使っているだけだ。という議論は置いといての話しになっていまいますが、職業軍人として数々の武勲上げた中尉が食事も排泄も妻に頼らざるを得ない状況になり、妻はその立場をひそやかな悦楽にすり替えてしまっている。どちらかと言えば男社会であった時代に「男が女に好きに虐げられる」話がどうしても書きたい!乱歩がいろいろ逡巡して舞台を組み、見事なまでに男女の倒錯した愛情を極限まで追求してみせた。と素直に評価したいと思います。

例えばスティーブン・キングの「ミザリー」を引き合いにしてみます。こちらは小説も、それを原作にした映画も大ヒットしました。

主人公は特に女性ファンの多い売れっ子小説家。人気の「ミザリー」シリーズをそろそろ完結させて新境地の開拓を考えています。ある日、雪山をクルマで走行中に事故を起こし、気が付くと雪深い一軒家のベッドで寝かされていました。この家に住む大柄(デブ)な元看護士であった女に助けられたのですが、足に相当なダメージを受けているらしく歩くことができません。
この謎の女は熱狂的なミザリー・シリーズのファンで、小説家がこのシリーズを完結させようとしていることを知ると、何と彼を監禁し自分だけのためにミザリー・シリーズを書き続けさせるのでした。

同じような設定
・男が自分では動くこともできず
・女に助けてもらうしかなく
・女はその立場を使い自身の欲望を満たす
でも、それをひたすらエロだけにしかリンケージしない乱歩はやはり凄いかもしれない。

今回のテーマ指定曲は江戸川乱歩の「芋虫」をイメージしたということでタイトルは「芋虫」。そのままだとポカポカ陽気の野原をちょこちょこと這い回るイモムシ君がイメージされますが・・・。

インスピレーションの元は選択できたものの、個人的には自分で企画・主催している勉強会の投稿作品もひかえており、正直あまり時間が取れないという事情がありました。自身としては作品に漂う「諦観に満ちた空気」「昭和初期のレトロ感」「日本の古い田舎の閉塞感」みたいなものを表現したい。とは考えたのですが、とにかく時間が無くて今回は編成も少なく構成もかなり投げやりな作品になってしまいました。

編成
ヴァイオリン独奏
ピアノ
フレットレス・ベース
打楽器郡(和太鼓・鈴・シンバル・ティンバレス・トライアングル)
ドラムス

冒頭は(例によって)ピアノの独創で何かいっぱい弾いてます。調はイ短調(Aマイナー)ですが、そこへ繋ぐためと「レトロ日本(何じゃそりゃ?)」をイメ-ジしてDで始まるドリアンを主体にしています。ただ音の選択が筝で使われる「壱越」に近いのでところどころ筝曲のように聴こえる(とうれしい)かも。

その後、独創ヴァイオリンとピアノ伴奏によるもの悲しいテーマを演奏します。ゲーム音楽などでふんだんに使われる三度下降を思わせるコード進行ですが、そうは問屋が卸さずに時々変なコードに飛ばしています。ピアノが弾く音の構成も少しひねってあります。
例えばF△7の部分で使ってる和音は「ソシレ」だったり、E7sus4thで使ってる和音が「シドミ」だったり。所謂「テンション」や「アッパー・ストラクチュア・トライアド」の考えですが、そんなことより変わった響き重視で使ってるだけであったりします。

その後フレットレス・ベースがインして、鈴たら和太鼓やらトライアングルやらが大した考えも無しにリズムを取ります。時々地下街なんかで托鉢しているお坊さん(本物かは不明ですが・・・)が持ってる、先っぽに鈴のついた杖みたいなやつ。あれを「シャン!」と鳴らしたようなイメージでしょうか?

Aメロが終わると今度はBメロをフレットレス・ベースが演奏します。ピアノはシンプルにコードを鳴らし、ヴァイオリンがスタカートでオブリを入れる。一聴すると平和な部分ですが夢の中にある悲しみみたいなものを感じられたらと思います。

ブレイクの後はドラムスもインしてここからはevnc_chckの真骨頂(ぶわはは!)。何とか尺をかせごうとひたすらヴァイオリンが弾きまくります。気が付くと逆に長くなり過ぎてあわててフェイド・アウトです。構成きちんと組んで取り掛からないとこうなってしまう。という悪い見本のような啓蒙的作品となったのでありました。

個人的にはこういう曲調って本当は嫌いなんですよ。クラシックの弦楽器奏者とか管楽器奏者がコマーシャルに走ると、こういったジャズ・フュージョン系の曲を演奏します。でもエレキギターとかシンセサイザーとか入れちゃうと、インパクトがそっちのがあるし電化しすぎと思うんでしょうかね?大体がピアノとベースとパーカッション、あとはアコースティック・ギターとかの「中途半端にアコースティックさを強調」したような編成です。
素直に「クラシックではトップになれないし稼げないけど、ロック魂も無ければハードなジャズもできないから、ほどほどにこれくらいの演奏をしてます」と言やぁいいのに!と思うんですよね・・・。

今回のテーマ指定のために創った新曲です。よろしければお聴きください。

江戸川乱歩「芋虫」
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テーマ : DTM、宅録、ミックス、レコーディング、機材
ジャンル : 音楽

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はじめまして。 中学生くらいに突如、音楽に興味を持ち「ブラバン」や「ロック・バンド」やよくあるコースで音楽を愛し、今はもっぱらDTMを趣味としてネットで自作曲を公開したりしています。

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